厳原簡易裁判所 事件番号不詳 判決
主文
被告人を罰金参千円に処する。
罰金を完納出来ない時は金参百円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
理由
被告人は長崎県下県郡厳原町に於て中外新報と題する旬間新聞の発行販売を営むものであるが昭和二十七年五月十一日施行された鶏知町長選挙に際し候補者俵亀寿の当選を目的とし同人に投票を得しめるため「鶏知の選挙」と題する同町長立候補の選挙運動状況を掲載した昭和二十七年五月十日附中外新報三百部を同年同月十一日午前八時頃長崎県下県郡鶏知町大字鶏知白江橋附近道路上で氏名不詳の三名に夫々手交してこれを同人等をして同町内に頒布させて以て通常の方法によらないで頒布したものである。
(証拠説明省略)
法律に照すに右判示所為は公職選挙法第百四十八条第二項、第二百四十三条第六号に該当するから所定刑中罰金刑を選択し主文第一項の如く処断し罰金不完納の場合の換刑処分について刑法第十八条を適用するものとする。
被告人並に弁護人は候補者俵亀寿の当選を目的として同人に投票を得しめる為に「鶏知の選挙」と題する記事を掲載したものでないと主張するが押収に係る中外新報によると右記事の内容は俵亀寿を他の候補者に比較して人物を称揚してあり且同記事の末尾に至つて俵亀寿が当選するものの如き感を抱かせる文章で結語し読むものをして俵亀寿の為の所謂提燈記事と判断出来る如く記載して報導したのは被告人の司法警察員に対する供述と相まつて同候補の当選を目的としたものと認めるの他ないから右主張はこれを採用出来ない。
仍て主文の通り判決する。(昭和二八年一〇月一二日厳原簡易裁判所)